うどんが有名な四国の玄関口・香川県。
県庁所在地・高松市は、
日本一の松盆栽の産地であり、
世界にその名を轟かせています。
市内には盆栽園がたくさんあり、
海外から買い付けにくるバイヤーも多数。
いつから、どのようにしてこの地で盆栽が
盛んになったのか、さっそく探ってみましょう。
いにしえより伝わる
鉢の上の小宇宙、盆栽
お盆のような浅い鉢に樹木を植えた盆栽。ときに枝を曲げ、苔を張り、日本庭園や自然そのものを小さな鉢の上で表現し、長い年月をかけて育てていきます。代表的な樹木は、日本で古くから親しまれている松、幹や枝が白くなるヒノキ科の真柏。葉物、花物、実物などもあります。
起源は、平安時代から鎌倉時代あたり。中国から伝わった「盆景」が元になっており、室町時代には将軍や僧侶の間で流行。江戸時代後期には庶民にも広がり、いまでいう盆栽という名称が登場。1873年(明治6年)には海を越えてウィーン万博で盆栽が飾られ、戦時中は政財界の人々が自分の盆栽を疎開させるほど大事にしていたそうです。いまでは、日本国内よりも海外からの評価が高く、わざわざ盆栽の修業をしに日本を訪れる外国人もいるほどです。
高松盆栽には、
約200年の歴史がある
香川県高松市で盆栽がつくられ始めたのは、江戸時代。いまから約200年前、自生していた木を鉢に植えて販売したことが高松盆栽の始まりとされています。
高松は、温暖で降水量や夏と冬の気温差が少なく、水はけが良い土地。さらに、接ぎ木や剪定の技術が加わり、松盆栽の日本一の産地になりました。五葉松や黒松は海外への輸出が盛んで、フランスでは高松盆栽の剪定実演イベントなどが開催されるほど。実際、海外でどのような愛され方をして、どのように飾られているのか、一度見てみたいものです。
鬼無と国分寺地区、
盆栽園が点在する街
高松盆栽の生産者は約60軒。市内鬼無(きなし)地区と国分寺地区に盆栽園が集中し、この2つのエリアだけで松盆栽の全国シェア8割を占めます。高松盆栽の場合は、松を仕入れて盆栽に仕立てるのではなく、苗から育てるのが特徴。歩いているだけで、鉢に仕立てられた盆栽はもちろん松がずらりと並ぶ畑を目にすることができ、ここが産地なのだなと実感できます。
また、地元の小学校では盆栽に触れる総合学習の時間があり、市内では盆栽や植物関連のイベントが多く開催されます。この土地に誇りをもって、市民と生産者が、盆栽の街として盛り上げていることがわかります。
高松盆栽の郷で、お気に入りを手に
高松盆栽を手に入れるなら、高松盆栽の郷へ。リーズナブルなものから高価で貴重なものまで1万本以上の盆栽や苗木が並んでいますので、ぜひお気に入りを見つけてください。また、香川県内限定(島しょ部を除く)ではありますが、盆栽レンタルサービスも。おめでたい席はもちろん店舗や自宅の空間演出など、気軽に盆栽を取り入れられます。